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2021.08.13

市場/トレンド

D2Cとは?基礎からマーケティング手法をご紹介

D2Cとは?基礎からマーケティング手法をご紹介

今、D2C(DtoC)と呼ばれるビジネスモデルが注目を集めています。
どうして今D2Cなのか、そのメリットとは何なのかということについて気になっている方も多いでしょう。

本記事では、D2Cの定義、メリットと注意したいポイント、D2Cの成功事例、自社でネットショップを開業しD2Cで商品を販売していく仕方などについて、幅広く紹介します!


D2C(Direct to Consumer)とは?

ここではD2C(Direct to Consumer)の定義と、どうして今D2Cが注目されているのかという背景について見ていきましょう。

D2C(Direct to Consumer)とは?

そもそもD2C(Direct to Consumer)とは?

D2C(DtoC)とは、仲介業者なしに商品の製造から販売までを自社で行うというビジネスモデルです。

Direct to Consumerの略でありDtoCと記載されることもあります。端的に言えば、ユーザーに直接商品を販売するのが特徴です。

B2C(Business to Consumer)の場合、商品は「製造者(メーカー)→販売者(マーチャント)→ユーザー(コンシューマー)」という流れで販売されるのが一般的です。

B2Cでは「作り手」と「売り手」が分離しています。

それに対しD2Cでは、製造者と販売者が同一です。そのため、ネットショップや直営の実店舗を通じて、ユーザーへ直接商品を販売します。

その他、D2Cの特徴として

デジタルやデータを活用して効率的かつ合理的にビジネスを推進する
SNSなどを活用して、ユーザーとのコミュニケーションを積極的に行う
商品についてだけではなく、サービスの描く「世界観」や「ライフスタイル」をユーザーに感じてもらうために、ブランディングに強く取り組んでいる

などがあげられます。

どうして今D2Cが注目されているのか

どうしていまD2Cが脚光を浴びているのでしょうか。

それは、テクノロジーの活用によって、顧客のニーズに合わせた商品を提供できるようになったからです。

「大量生産・大量消費」を前提として商品の製造・販売するのではなくユーザー一人ひとりの好みや必要に応じて商品を提供するということが、テクノロジーの発達(特にインターネットの普及)によって比較的安価に実現可能となりました。

D2Cに向く商材と向かない商材

D2Cのビジネスモデルには、特に衣料品や美容品といった商材が向いています。

衣料品や化粧品は、製造から販売までの一連の流れが長いです。そのため、自社で一貫して行うことによるメリットが大きいと言えます。

逆にD2Cに向かないのは、鮮度が重要な生鮮食品や、大量生産され安価に販売されるような日用品です。

これらの商材は、商品の製造と販売を自社のみで完結させるメリットが小さいからです。

それでは、製造から販売までを一貫して行うというD2Cのメリットとは何なのでしょうか。

D2Cのメリットと立ち上げ時に注意すべきポイント

それでは、D2Cのメリットと注意すべきポイントとは何でしょうか。

D2Cのメリット

収益性が高い

D2Cは、仲介業者をはさまずにユーザーに直接商品を販売するため、収益性が高いです。

仲介業者を挟まないことで中間マージンがかからず、必要としていたコストが削減されるとともに商品価格も抑えることができます

自社の戦略によって売り方を変えられる

D2Cでは、自社の戦略によって売り方を変えることができます。

例えば戦略によって、自社ECサイトなどのネットショップのみで商品を販売するのか、ネットショップだけでなくリアル店舗(実店舗)も展開するのかは変わってくるでしょう。

ECのみの運営であれば、費用は少なく済みます。
他方リアル店舗で商品を”体験”してもらうことを通して、購入率やLTV(顧客生涯価値)の向上を狙うという戦略もあります。

顧客データを収集し、マーケティング施策に活用できる

自社で商品を販売すれば、購入に至るまでのユーザーの行動データの収集が可能になります。

その情報をもとに商品を企画したり、サイトのデザインを改善したりすることで売上の向上を図ることができます。

D2Cで注意したいポイント

顧客の獲得、維持にコストがかかる

どんなに立派な商品であっても、サイトに訪れてもらわなければ、商品が購入されることはありません。

ブランドの知名度がない状態では、ネットショップへの流入は微々たるものでしょう。

広告費をかけ集客しても、広告にコストを割くため利益率が悪くなります。

「その商品ならでは」の魅力

「自社ならでは」「その商品ならでは」いうブランドの世界観をユーザーに充分に示せなければ、D2Cビジネスは成功させることができません。

D2Cの事業者を支えるのは、「そのブランドだから買う」というファン、リピーターなのです。

リピート率が低いと「広告費をかけ新規顧客を獲得する→リピートされない→広告費をかけ新規顧客を獲得する」というループに陥り、利益が積み上がっていきません。

ビジネスが軌道にのるまでに時間がかかる

前段で記載した通り、D2Cビジネスは新規顧客獲得のハードルが高いです。

特にネットショップ(自社ECサイト)をオープンしたばかりのころはなおさらでしょう。

そのため、知名度とリピートが増え売上が安定するまで苦しい時間が続くかもしれません。

「世界観」を創り上げる、D2Cのブランディングとマーケティング

D2Cビジネスの成功は、「単なる商品の売買」以上の関係をユーザーと築けるかにかかっています。

ユーザーとの関係性を築き続けるために、ブランディングに力を入れると同時にマーケティング施策にもその観点を組み入れていく必要があります。

「世界観」を創り上げる、D2Cのブランディングとマーケティング

UGCの活用

UGC(User Generated Contents)とは、企業ではなく一般のユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことです。

具体的には、ネットに投稿された写真や動画、SNSの投稿などを指します。

自社のサービスについてのUGCは、マーケティングにおいて重要です。それには以下のような理由があります。

UGCは、会社外の人の「素直な」感想なので、他者から「客観的な」感想だと受け取られやすいから
あるユーザーのUGC自体がSNSなどで拡散される可能性があるから

ライブコマース

ライブコマースとは、ライブ配信で商品やサービスを紹介し、視聴者からの質問があればそれに随時答えていくという新しいオンラインでの販売手法です。

双方向のコミュニケーションをリアルタイムで行うことで、その場でユーザーの疑問に答えられたり、テキストだけでは伝わりづらい世界観なども配信できたりします。そのためD2Cとの相性が良いとされています。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどでフォロワー数を多く保有しているインフルエンサーに、商品を紹介してもらうというマーケティング手法です。

インフルエンサーの中には、化粧品などの特定の分野で専門性を持ちユーザーの態度変容を促す影響力を持っている人もいます。

インフルエンサーが持つ世界観と製品が持つ魅力や特徴などがマッチすれば、売上だけではなく、ブランディングの効果も期待することができます

日本国内のD2C成功事例

ここではD2Cの成功事例を日本企業の中から3社紹介します。

D2C × 美容:COLORIS(カラリス)

株式会社ストークメディエーションが運営するCOLORIS(カラリス)は、セルフヘアカラーセットを顧客一人ひとりに合わせて提供しています。

カラリスは、美容室の処方や市販品の単なる代わりを目指すのではなく、ライフスタイルブランドとして世界観を届けることを目指しています。

こだわりの商品をユーザーに正しく利用してもらうために、コミュニケーション設計には特に注力しているようです。LINEやInstagramといったSNSを通して、サービスを正しく・長く利用していただくためのコミュニケーションをとっています。

D2C×食品:VALX(バルクス)

VALXは株式会社レバレッジが運営するネットショップであり、主にプロテインを提供しています。

業界内の著名人が監修についてプロダクトの開発が行われました。OEMメーカーへは20社以上へ打診したほどです。成分だけではなく、味にもこだわりを持っています。

プロテインという商品を提供するだけではなくYouTubeなどで正しい筋トレ方法を伝えることで、ファンを増やしています。

D2C×サブスク:Dr. VAPE(ドクターベイプ)

Dr.VAPEは株式会社ロックビルが運営する、タール0・ニコチン0・嫌な臭い0の3つを実現する電子タバコです。

ネットショップなどでの販売を中心に行っていましたが、現在は一部コンビニでも販売しています。

タバコが持つネガティブな印象を払拭するようなスタイリッシュなプロダクトのデザインと、「香りを吸う」新しい習慣の提案が特徴的です。

ユーザーは複数のフレーバーから選んで楽しむことができます。

本体は売り切りですが、フレーバーはサブスクリプション(定期購入)で利用しつづけることができ、途中でフレーバーの変更などができます。そのためユーザーは飽きることなく利用することができます

D2Cのネットショップとサブスクリプションとの相性

D2Cは、ユーザーと積極的にコミュニケーションをとることがポイントです。

そのためD2Cは、ネットショップやサブスクリプションと相性が良いとされています。

D2Cとネットショップの相性

国内事例でも取り上げましたが、ユーザーと直接コミュニケーションをとるためにSNSなどの双方向性の機能を持つツールを利用するのがよいでしょう。そうすることで、シームレスなコミュニケーション(壁を感じないコミュニケーション)を実現することができます。

加えて、コミュニケーションを通してユーザーデータを取得することができれば、その情報から次のアクションを進めていくことができます。
例えば、トラッキングしたユーザーの行動履歴をもとにオススメの商品をレコメンドしてみるのは効果的でしょう。

D2Cとサブスクリプションの相性

一定の料金を支払うことで特定期間サービスを利用可能になるサブスクリプションは、ユーザー、事業者にとってもメリットがあるでしょう。

D2Cブランドに対して、ユーザーはSNSなどで自分たちの声を届けることがあります。それが自分たちの受けるサービスの向上につながることがあるからです。

また事業者は、リピーターによる売上の安定で、中長期的な目線でサービスを展開することができます。

D2Cを実現するためのカートシステム

Amazonや楽天のような総合モールで商品を販売するとなると、競合他社との熾烈な価格競争に巻き込まれてしまいますし、そのモールに大きく依存することになってしまいます。

そのため、「自社でもネットショップを運営して商品を販売したほうがいいよね」ということで自社サイトで行うD2Cが流行しているのです。

自社でネットショップを運営するために必要なのが、カートシステムです。

D2Cを実現するために必要なカートシステムとは?

カートシステムとは、ネットショップで買い物ができるようにするためのシステムで、リアル店舗の買い物カゴとレジのような役割を果たします。

カートシステムは、買い物カゴ以外の機能もあります。受注管理、商品管理、出荷管理、顧客管理などの機能や、決済の連携などの機能です。

ネットショップではカートシステムが中心となって購入から発送、その後の顧客対応が行われます

カートシステムを選ぶためのポイント

カートシステムには、機能には制限があるが無料や格安で利用できるものから、デフォルトで様々な機能が備わっているもの、自社の戦略に合わせてカスタマイズが可能なものなど、いくつかの種類があります

それでは、どのようにカートシステムは選ぶべきなのでしょうか

D2Cでネットショップを新規で立ち上げるのであれば、以下の点を考慮してみましょう。

リピートに力を入れるのか、商品点数の多さで勝負するのか
リピート率を上げるのに強いカート、商品登録・売切れ対応などの受発注機能に強いカートがあります。

自分たちの月間売上目標はいくらか
初めてネットショップを立ち上げる際、1年以内に月間売上目標1,000万円を超えない目標なのであれば、まずは無料や月額10万円以内のASPカートシステムを検討するのがよいでしょう。

ASPカートシステムには、ネットショップ運営に必要な標準的な機能が備わっています。

立ち上げのタイミングから年間数億の売上を見込むような大規模な事業なのであれば、上位プランのASPカートや、後にカスタマイズ可能なカートを選ぶとよいでしょう。

※定期通販カートシステム「サブスクストア」について:ネットショップには必須のカートシステムとは?

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