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2021.10.08

市場/トレンド

EC事業者がネットショップでDXを進めるためのポイントとは?

EC事業者がネットショップでDXを進めるためのポイントとは?

近年注目を集め、その取り組みが進められるDX(デジタルトランスフォーメーション)。では、DXをネットショップ(自社ECサイト)で行うにはどうしたらよいでしょうか

また、そもそもネットショップがDXに取り組むメリットとは何でしょうか

ここではネットショップがDXに取り組むためのポイントと、具体的な施策を紹介します。


DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?ネットショップがDXを行うメリットも解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?ネットショップがDXを行うメリットも解説

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

ビジネスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「IT(情報技術)を使って、既存のビジネスモデルに変化を起こし、売上を向上させる仕組みをつくること」です。

つまり、「取り扱う情報のIT化」「業務の効率化及び組織の根本的な変革」をセットで行うのがDXです。

※DXについて詳しく知りたい方はこちら:DXとは?DXの意味とそのメリット、成功事例をご紹介!

ネットショップ運営者がDXを行うメリット

ネットショップ運営者(ECサイト運営者)にとってのDXのメリットは、①売上の向上②業務の効率化です。
ただしこの2つのメリットは、EC事業者に限らず、DX推進を掲げるあらゆる企業に共通するメリットと言えます。

そこでネットショップ運営者として押さえておきたいのは、ネットショップの事業者だからこそ行うことになる具体的な施策の内容になります。

・ネットショップで購入しようとすると、入力事項が多くて面倒
・自分の悩みを解消してくれるような商品が、検索しても見つからない
・サービスに対する不満や疑問点を、気軽に聞きたい

以上のようなユーザーがネットショップでお買い物するときに抱く不満を、デジタルの力で解決していくのがネットショップのDXの一歩目になるでしょう。

売上を向上させるためのネットショップのDX

顧客体験(CX)の向上がネットショップの売上を伸ばすカギ

ネットショップの売上は、ユーザーのサービスに対する満足度と結びついています

そのため、ユーザーの購買体験(CX:カスタマーエクスピリエンス)を向上させることがDXのポイントになります。

ネットショップでのお買い物をするとき、次のような気持ちになったことはないでしょうか?

商品を買う前
「自分が欲しい商品が、検索しても出てこないな」「自分に合う商品がわからない...」
商品を買う瞬間
「入力する事項が多くて面倒」「この商品を買っても期待通りの効果があるかな?」
商品を買った後
「商品届くの遅いな」「この使い方で合っているのかよくわからない...」

以上のような不満や不安を少なくしてお買い物をしやすくすることが、「顧客体験(CX)の向上」ということになるでしょう。

例えば、ネットショップでの購入手続きが面倒なため、商品をお買い物カゴに入れたけど買うのをやめてしまうということがありますよね(いわゆるカゴ落ち)。
そのようなカゴ落ちを減らすために、入力フォームをなるべく簡易化したり(EFO:Entry Form Optimisation)、ID決済を導入して、初めてのショップで購入するときも個人情報を入力せずに支払えるようにしたりするといった方法があります。

このように、ユーザーの「購入手続きが面倒」という課題を、EFOやアカウント連携といった情報技術によって解決することが、ネットショップが取り組むべきDXの具体的な施策の例になります

ネットショップの売上は「サイトへの流入数×購入率×LTV(顧客生涯価値)」という要素に分解できるので、それらの要素に着目してネットショップのDXについてさらに解説していきます!

自社のサイトに訪れてもらい、気持ちよく商品を買ってもらう

売上を向上させるためのネットショップのDX

サイトへの流入数を増やすために、複数のチャネルを利用する

ネットショップで売上を上げるには、何よりもまずユーザーにサイトへ訪れてもらわなければなりません
また、ただやみくもに新規顧客を集客するよりも、自分たちが価値を提供できるユーザー(自分たちのサービスが”刺さる”ユーザー)にサイトを訪れてもらいたいですよね。

どうしたら自分たちがターゲットにするユーザーを集客できるのでしょうか?
集客に関する手段は多岐にわたりますが、今回はDXという観点から、複数のチャネルの活用することを挙げたいと思います。

チャネルとは、サイトへ集客するための経路や媒体のことです。
ネットショップの運営者は、このチャネルをうまく設計し、ターゲットとなるユーザーが利用するチャネルで接点を持っていくべきです。

例えば、20代~30代の女性へ向けた美容系の商材を取り扱っているのであれば、ターゲット層が多く利用しているInstagramで公式アカウントを作成し運用します。

また場合によってはWebだけでなく、ターゲット層のユーザーが買い物に行くような街でポップアップストアのようなリアル店舗に出店するのも手です。
実物を見て触ってもらえる場所とするだけでなく、写真映えを考えたディスプレイを設置し、そこでLINEやInstagramなどで投稿したくなる仕掛けも準備する。また店頭で友達登録をしてもらいその後もコミュニケーションを取る、といったことも考えられます。

ネットショップ担当者は、チャネルごとのユーザーの購買行動の数値を分析することで、チャネルごとに効果が見込める施策を打ち分けるといったこともできるでしょう。

サイトで商品をスムーズに購入できるようにする

ネットショップがDXを行う具体的な取り組みとして、ネットショップでユーザーが商品をスムーズに購入できるようなサイトを設計するということが挙げられます。

商品を決めてあと購入するだけという段階で、手続きが面倒であったり利用したい決済手段が対応していなかったりしたために、盛り上がっていた気持ちが冷めてしまったという経験はありませんか?

先ほども例に挙げましたが、例えば入力フォームを簡易化することでスムーズに商品を購入することができます。

また、多様な決済手段を対応可能にしておくことも重要です。

クレジットカード払いだけでなく、後払いやAmazon PayのようなID決済など、ユーザーが利用したい決済手段を導入することも考えましょう。

※ネットショップで新規顧客獲得する方法について詳しく知りたい方はこちら:ネットショップの新規顧客獲得でECの売上アップ!施策のポイントを紹介

LTVを伸ばすための施策

LTV(顧客生涯価値)とは、簡単に言えば一人のユーザーから生涯得られる利益のことです。

LTVを上げるアプローチとして挙げられるのが、顧客データを利用した商品のレコメンドです。
ユーザーごとに最適なサービスを提供することで、より効果を実感してもらい商品・サービスを利用し続けてもらうことを狙います。

近年、「利用者一人ひとりに適切なサービスを提供する」というパーソナライズでのレコメンドも普及してきました。
個人の検索履歴や検索履歴などから、オススメの商品をレコメンドします(勧めます)。

レコメンドは、「自分に合う商品って何だろう」と購入前に悩んでいるユーザーや「同じショップで別の商品も買ってみたい!」と考えるユーザーの助けとなるはずです。 自分に合ったサービスが提供されるのであれば、ユーザーは好んでそのサービスを継続して利用するはずです。顧客データの活用が、LTVを向上させます。

※ネットショップでリピート顧客を獲得する方法について詳しく知りたい方はこちら:リピート顧客で売上アップ!ネットショップでリピーターを増やす考え方と施策を紹介

業務を効率化させるためのネットショップのDX

DXの最終的な目標は、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創出し、市場における競争上の優位を獲得することです。

とはいえDXを進める過程で、業務の効率化も進めていくべきでしょう。
例えば、まだ紙の状態(アナログ)で保存されている文書をデータ化して扱いやすくしたり、ユーザーからお問い合わせを受けた際に顧客情報を検索して顧客の過去の購入内容や行動履歴を参照できるようにしたりするといったことです。

ここでは、ネットショップのDXを進める途中で行うことになるだろう業務効率化につながるトピックを紹介します!

自動音声案内やチャットボットの活用で自動化・省人化

ユーザーが何かサービスに不安や疑問を抱いた場合にそれらを解消できるかどうかが、長くサービスを利用してもらえるか否かに関わってきます。
というのも、購入前であれば不安が減れば購入しやすくなりますし、購入後もサービスに対する不満がなくなればサービスを続けてもらいやすくなるからです。

手法としては、Q&AFAQ(Frequently Asked Questions)をサイトに設け、ユーザーから問い合わせを受ける前によくある質問や想定されうる質問に答えてしまうということがまず挙げられます。

それに加えて、電話での問い合わせを受けた場合に自動音声案内でのガイドチャットボット(Chatbot)の活用もできるでしょう。
チャットボットとは、利用者が入力した文章に対し、自動で返答するプログラムのことです。 チャットボットは24時間稼働させることができ、かつ人件費を抑えられます。ユーザーも、いつでも気軽に質問できるので便利です。

テクノロジーを活用によって、オペレーターの負担の減少と、ユーザーの利便性の向上が実現できます。

ネットショップを支える物流システムの自動化・効率化

カラリスが商品開発にこだわる理由

ネットショップにおいて、物流は非常に重要な役割を担っています
いくら良質な商品やお洒落なサイトを制作したとしても、効率的な在庫管理や安定した配送ができなければ「商品が全然届かない」「届いた商品が破損している」といったユーザーの不満や問題が生じてしまうでしょう。

ユーザーは、購入時に期待した通りのクオリティの商品が、できるだけ早く届くことを期待しています
商品の受注からユーザーのもとに商品を届けるまでの一連の業務のことをフルフィルメント(Fulfillment)と呼びますが、このフルフィルメント次第でネットショップの評価は大きく変わってくるのです。

※フルフィルメントについて:ネットショップのフルフィルメントとは?基本や成功ポイントを紹介

近年、人手不足や需要の高まりもあり、物流業界のDXが進められています。
EC業界は、物流業界のDXの恩恵を受ける業界と言えるでしょう。
例えば、今までは手作業でピッキングや製函、梱包、仕分けなどの業務が行われてきましたが、個別対応が必要な作業以外はロボットに任せ自動化することが可能になりました。
ロボットが対応するということは、夜間や祝日でも対応でき、かつ人為的なミスを大幅に減らすことができるということも意味します。

ネットショップの良し悪しは、商品を購入するまでのプロセス、そして購入後実際に商品が届いて利用するまでのプロセスで評価されます。
そのため、「ユーザーがより気持ちよくお買い物をできるための流れ」を実現するためにテクノロジーを利用するという考え方が、ネットショップのDX推進するために求められているのではないでしょうか。

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